読んだ

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

この業界で、私がこれからも働いてゆくとするならば、3Kだとか言われたまま、不満ばかり並べて、たいした努力もせずに、生きてゆくのはごめんだ。


アジャイルに対する誤解「アジャイルだから計画しません」を、真っ向から変えてゆくことを意図したという本人の言の実現への行動をこの著書で著者は試みようとしているようだ。


そもそもアジャイルとは?2001年のアジャイルマニフェストに始まるとされている。


1.プロセスやツールよりも、人と人との交流を
2.包括的ドキュメントよりも、動作するソフトウェアを
3.契約上の交渉よりも、顧客との連携を
4.計画に従うことよりも、変化に適応することを


「そもそも見積りというものは、見積もった時間内に作業が完了する確率のことである。従来型の計画づくりの問題点は、プロジェクトのチームやステークホルダが見積もりをコミットメントととらえてしまうことだ。見積もりは確率だが、コミットメントは確率ではない。」いい文章ですね。


で、具体的になんですが、読んでもらえばいいんですが、絶対読むべきだと思うんですが、少しだけ間違ってるかも知れないけどメモっとこう。くれぐれも、こんな僕の文章真に受けないで、読んでください。お願いします。回し者ではないです。


まず、規模と期間の見積もりは完全に分けて考える。これもずいぶんと面食らうことなのかもしれない。既得権とは恐ろしいものがある。


まず、絶対に相対的なストーリーポイントで規模を見積もる。ストーリーとはプロダクトに対するフィーチャー(機能)のことであり、「何々Serviceクラスを作る」などは、さらに細かいタスクということになるようだ。タスクの集合がひとつのフィーチャーでありストーリーということ。「一覧画面でCSV出力できるようにする」はひとつのストーリーになる。


で、このストーリーを5としてみると、それ以外のストーリーは、これを基準に完全に相対的に決定される。「一覧画面でPDF出力できるようにする」は7ぐらいかな?とかそんな感じ。そしてこの見積もりはチーム全員参加で決定される。7だと私は言ったが、彼は5だと言った。その根拠は何だ?とここで、ひとつのヒントが、正確性が、得られるはずである。ロジックとはそういうもんだろう。一人の人間などたいしたものではないし、かつ、十分にたいしたものなのだから。リリース計画は、このように決定されていく。


そんで、リリースの細かい単位であるイテレーションの計画を立てる。イテレーションとは、ユーザに見せることのできる単位のことである。イテレーションごとに、計画は修正され、ユーザとの議論が行なわれ、見積りは正確さを増してゆく。この見積もりの正確さが増すというのが面白いところで、ストーリーポイントで「3,5,5,7」というストーリー合計「20」を一度のイテレーションを動かしてみたところ「3」のストーリーが終わらなかったとする。そのときに導き出されるチームの作業速度がベロシティと呼ばれるものである。つまり「17」である。そうすれば、次のイテレーションでは、この17を目安に見積もったストーリーの中から「17」になるように選べばいいのだ。


もちろん一番はじめのイテレーションでは、推測するか、前回同じチーム(似た構成のチーム)で行ったときの結果ベロシティを使用するしかないが、逆に繰り返せばベロシティの平均値も出てくる。リソースも増えるばかりだ。だからプロジェクトの見積もりは、正確さを増すのである。チームとは人間のまとまりであり、同じ人数だからと同じように見積もれるはずがないのである。まったくもって正しい。


そしてリリースの期間はストーリーポイントの総数をベロシティで割った値として導出される。2週間が1イテレーションでベロシティが「17」でストーリーポイントの総計が150だとすると、150÷17=8.823とかになる。つまり9イテレーション。2ヶ月と1週間ほどである。


「締め切りは決まっていて、きちんとした締め切りを出さなくてはならないんだよ!馬鹿が!(無根拠に)そんなやり方できるわけないだろう!」に対する対処もきちんとのってます。17章のバッファの話には、その辺のことが書かれています。


て、いうか、そういうことを安易に言う人間に限って、既得権益の亡者なのであると思われます。そういう短絡的で感情的な言葉には、ロジカルに反論するに限ります。その場で、妙に激昂されるかもしれませんが、最終的な勝利はあなたの手中に、もうその瞬間に舞い込んでおりますので、ご安心ください。歴史が証明済みなのです。


そもそも顧客(ユーザ)とは、「協調するもの」なんだ。してーなー協調。


自分の仕事を「いやな仕事だなー」と思って生きていかなくても済むかもしれない期待を、アジャイルプラクティスは与えてくれます。以上です。